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想定Q&A集:サンクス(SANKS)都市連合構想
(99/9/15版)

1週間ほど前、エッセイ「柏を政令指定都市に−サンクス都市連合構想」をホームページ上で発表したところ、何人かの方から反響をいただきました。公開後間もないホームページの作者として大変感激しました。

複数の市町村を合併して政令指定都市にするということは、何十万人の人々の生活に影響を与える一大プロジェクトです。当然さまざまな立場から議論が百出することが予想されます。そこで、私の文章に意見を寄せていただいた方々を含め、この構想に対する意見や疑問をいくつか想定して、それに対する回答を下記にまとめてみました。これは同時に、私のSANKS構想の具体的な輪郭を明らかにするという意味もあります。


Questions目次
Q1.SANKS構想は、結局柏が覇権を握るだけの話ではないか?
Q2.合併によって、これまで親しんできた市町村名が消えてしまうのか?
Q3.人為的に巨大都市をつくることは、地方自治の本旨に反するのではないか?
Q4.松戸、鎌ヶ谷、取手はSANKSに含まれないのか?

Q1.SANKS構想は結局柏が覇権を握るだけの話ではないのか? 文頭に戻る

例えば沼南、流山あたりから、「SANKS構想というのは、周りの市町村を衛星都市化し、この地域における覇権を強めようという柏の陰謀ではないのか」という声も聞こえてくるかもしれません。それに対する答えは明らかにNo!です。

確かに、ある地域において圧倒的な規模を持つ大都市が付近の小都市や農村地帯を吸収するのであればそのような事態も起こるかもしれません(例.五日市市を合併した広島市、泉市を合併した仙台市等)。しかしSANKS地域の現状を見れば、確かに最大の都市は柏ですし、経済的な影響力も大きいのですが、柏市の人口は地域全体の40%にしか過ぎず、「ガリバーが小人を飲み込む」ような力は柏にはとてもありません。合併後は、むしろ北九州市のような、複数市町村の対等合併的な色彩が強くなるのではないでしょうか。1960年代に5市町村の合併によってできたこの百万都市では、今も昔も小倉が最大の繁華街ですが、それ以外の門司、戸畑、若松、八幡などという町もちゃんと独自性を保っていますし、商店街も産業も教育機関も各所に分散しています。

それに加えて、現代は産業の重心自体が駅前の繁華街、オフィス街から国道沿い、高速沿いなどの「ロードサイド」にシフトしてきています。私自身、住まいが柏駅の近くで買い物には何一つ不自由しない環境にいるのですが、より安いものを求めて車を飛ばして国道16号沿いの量販店に買い出しに行くことが週末の日課になっています。商業に加え、工場、物流センターなどの多くはロードサイドに立地しており、この地域に多くの雇用を生み出しています。今から21世紀にかけての大きなトレンドとして「駅前の空洞化」、「ロードサイドの繁栄」は当分続くと思われ、周辺地域の人々が「あまりに便利な柏駅前」へ引き寄せられ、衛星都市化するという事態は、今後緩和していくでしょう。むしろ、16号線、6号線、常磐高速を中心とした幹線道路ネットワークを通じて、SANKS地域全体が繁栄していくという構図が思い浮かびます。

2.合併によって、これまで親しんできた市町村名が消えてしまうのか? 文頭に戻る

現在、地域の人々に親しまれている柏、沼南、我孫子などといった市町村名は、合併後は区の名前として生かされるでしょう。流山、我孫子、野田といった人口15万前後の市はそのまま区になってもおかしくありません。30万都市の柏は全体のバランス上、「柏北区」と「柏南区」の二つの区に分かれるのが自然でしょう。人口5万以下の沼南、関宿は区になるには小さすぎるような気もしますが、旧町名を残したいという地元の人の意見が強ければ、それは最大限尊重されるべきだと思います。

それとは別に、新政令指定都市の名前をどうするかという結構楽しい問題があります。まさかサンクス市という名前にするわけにはいかないでしょうし、また複数市町村の対等合併という性質上、柏市や流山市という名前にもならないでしょう。恐らく、この地域全体の呼称として昔から親しまれていた「東葛市」が有力な意見になりそうですが、私個人の意見としては、もっとスケールの大きい名前をつけたいと思っています。例えば、「東関東市」とか「東東京市」(千葉県東東京市という名はちょっとシュールかな?)とか、坂東太郎・利根川にあやかって「坂東市」などがいいと思います。

  柏市 流山市 我孫子市 野田市 沼南町 関宿町
合併前の人口 323,645 150,109 127,232 121,439 45,351 31,581
合併後の名称 柏北区
柏南区
流山区 我孫子区 野田区 沼南区? 関宿区?
(人口は1999/8/1現在)

3.人為的に巨大都市をつくることは、地方自治の本旨に反するのではないか?

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行政の効率化と地方自治をどのように両立するか、私はこれこそがSANKS構想最大の課題だと考えています。

複数の市町村を合併して政令指定都市をつくる主要な理由は、行政の効率化・合理化にあります。効率化・合理化というと何だかリストラみたいで響きはよくありませんが、一言で言えば地域の各種問題を解決したり将来の理想像を実現するために、地域全体の行政資源を集中して、その力を十分に発揮していこうとする考え方です。SANKS地域でそれを行うとどのようなメリットがあるかについては、私は前著「柏を政令指定都市に−SANKS都市構想」の第三章に示しています。反面、市町村の規模が大きくなればなるほど、個々人の政治参加が難しくなっていくこともまた事実だと思います。例えば、沼南町の町民が合併によってSANKS市民になれば、彼/彼女の一票の重みは「5万分の1」から「80万分の1」へと激減してしまいます。沼南町、我孫子市といった個別の街の利害も、合併後はSANKS市全体の中で調整していかなればならなくなります。

しかし、柏市、沼南町といった市町村で、これまで満足のいく政治参加が行われてきたかと考えると、そうではないと思います。SANKS地域は、東京のベッドタウンとして1960年代以降人口が急膨張した地域です。地域の住民は圧倒的に新住民が多く、父親は東京へ通勤するサラリーマンが多く、独身者や短期滞在者も多く、コミュニティ意識が非常に薄い地域でした。しかし、90年代前半のバブル崩壊のころから、この地域への人口流入もようやく落ち着いてきました。SANKS地域に20年以上居住し、この地域に生まれ育った人口も増えてきました。つまり、SANKS地域は最近になってようやく「ふるさと」と呼べるような地域になってきたのです。地域住民が地元に関心を持ち、地元をよくしていこうという時代は、まさにこれからなのです。

私は、SANKS都市連合実現に至る過程は、この地域の住民が地元に関心を持ち、地元のあるべき未来を語り合い、その実現に手を携えるという歴史上初めての経験になると思います。住民の間にコミュニティ意識が芽生え、自治が花開くためには、単に市町村の規模を小さくするだけでなく、共通の目標に向かって進むという経験の共有が必要なのだと思います。

最後に補足すると、SANKS地域の各自治体を合併するというのは、人為的に大都市をつくるということではないと思います。この地域は、東京のベッドタウン化、国道16号線・6号線・常磐線・東武野田線といった交通ネットワーク、柏商圏の発展等によって自然に形成された一つのまとまりのある地域・生活圏だと私は考えます。むしろ、自然に形成された一つの地域が複数の市町村に分断されている方が不自然だと思います。SANKS構想の根底にあるのは、地域の現状に合った、自然な規模の自治体をつくっていこうという考え方です。

Q4.松戸、鎌ヶ谷、取手はSANKSに含まれないのか? 文頭に戻る

SANKS都市連合の範囲をどこからどこまでとするのかというのは、複雑な利害関係が絡みそうな難問の一つです。特に、柏の1.5倍の人口を擁する松戸をSANKSに含めるかどうかは、第一章で挙げた「柏覇権説」と関連する、大きな争点になりそうです。

私の意見としては、松戸市民がSANKS都市連合加入を自らの利益と考えるならば、加入には賛成です。松戸が加入すれば、SANKSは柏・松戸の二極を持つ、人口130万以上を擁する名実ともに千葉県最大の都市になるでしょう。ただし、SANKS構想の根底には「自然に形成されたまとまりのある地域をその単位」とするという発想があり、その観点からすると松戸の南部地域などは生活圏としてSANKS地域圏に入らないのではないか、という問題があります。同じことが鎌ヶ谷の南部地域にも言えます(むしろ、生活圏としては市川・船橋に近い)。いずれにしろ、SANKS加入は松戸・鎌ヶ谷両市民の総意次第です。

むしろ、茨城県に属する取手などは、生活圏としてはSANKSとの関わりが非常に深く、SANKS連合に加入しても不思議ではありません。ただし、都道府県を超えた都市連合は私の知る限り前例がなく、それが現在の行政法上可能なのかは私には分かりません。日本の自治制度が都道府県制から道州制になれば、何ら問題はないとは思いますが・・・

 

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